「前編」では、鷲﨑教授と小林の出逢いや、鷲﨑教授がシステム情報(現SI&C)の社外取締役への就任などについてお話いただきました。「後編」では具体的な取り組みやそこに込めた想い、さらにはこれからの未来について語っていただきます!
目次
「期待値を超える品質」の実現に向けて
小林:
鷲﨑さんは主にソフトウェア工学に関する多様な課題に対して取り組んでいらっしゃいますが、私が鷲﨑さんに共感して一緒に行った活動が3つあります。
①価値のあるソフトウェアを提供する
鷲﨑さんの推奨する「GQM+Strategies(組織目標と戦略の整合化及び目標定量管理の実践と拡張)」の、社内や顧客企業への適用を推進し、ビジネスの成果へとつなぐ取り組みを実践しました。CMMI ML5の達成や維持を支援することができました。鷲﨑さんと共に共同セミナーも開催するなど、幅広い取り組みとなりました。
②ビジネスや社会課題解決に役立つソフトウェアを提供する
鷲﨑さんが新たに推進している「SE4BS(Software Engineering For Business & Society)」へ参加しました。ソフトウェアは、ビジネスはもとより社会を良くするものであると捉えて、SDGsも視野に入れて小中学生向けのプログラミング教室なども開催しました。
③大学などのアカデミアと企業の連携・協業
早稲田大学を中心とした技術分野のビジネススクール「スマートエスイー」においてSI&Cの社員が講師を務めるなど、産学連携によってよりWin-Winの関係性を深めていく取り組みを実施しています。
これらの活動を一緒に実現することができました。
鷲﨑教授:
SI&Cとは主に、プロジェクトの品質を高めるための活動を重ねてきました。私自身の取り組みにも共通しますが、SI&Cが新たにフィロソフィーのVALUEとして掲げている「期待値を超える品質」というものにもこだわってきましたね。
小林:
「GQM+Strategies」に関する論文の共同執筆や、他にも日常における鷲﨑さんとの勉強会やコミュニケーションを通じて社員の知見を広げるなど、「期待値を超える品質」の実現のために、さまざまな活動をご一緒させていただいているんです。
株式会社SI&C Consulting Unit CMMIコンサルティング部長の小林浩
これからのソフトウェアエンジニアリングには、“生きがい”が大切!
小林:
鷲﨑さんは世界最高峰の計算機学会「IEEE Computer Society」のトップであるプレジデントに、日本人で2人目として就任されるのですよね。
鷲﨑教授:
はい。今ご紹介いただいたように、これまでのさまざまな取り組みに加えまして、2025年度からはIEEE Computer Societyのプレジデントとして、コンピューティングの潮流を展望しリードしていく立場になります。私自身もより大きなVISIONを持って、いろんな枠を超えて橋渡し役を担っていきたいと思っているところです。
小林:
鷲﨑さんの多彩な知見を共有させていただきながら、我々もさらにお客様や社会に貢献していける存在になっていきたいと思っているんです。
鷲﨑教授:
ずっと大事にしているコアな想いがあるんです。それは、ソフトウェアエンジニアリングにおいて最も重要なのは“ビジネスや社会のためである”ということです。時代は変化を続けていきますが、ソフトウェアエンジニアリングは変わらずに、ビジネスや社会をより良いものにしていくためにあるべきであると。それを実現していくためには、イノベーションやテクノロジーの進化も大切ですが、やはり最終的には“人”がとても重要になってきます。
小林:
未来を担っていく人材が重要になると。
鷲﨑教授:
そうです。その意味では、ソフトウェアエンジニアリングに関わる人が、“生きがい”を感じられることがとても大切だと考えています。会社に貢献している、社会に貢献できているという実感だったり、自分自身の成長や使命感に喜びを抱くなど、一人ひとりに“生きがい”を感じてもらいたいんです。
IEEE Computer Society 2025 Presidentに就任した株式会社SI&C顧問の鷲﨑弘宜氏
新しいDXとは“Developer Experience”のDXである!
小林:
“生きがい”って良いキーワードですね。
鷲﨑教授:
結局は社会のためのエンジニアリングであって、多様な人が関わって、みんなで幸福になっていく。そこにソフトウェアエンジニアリングが、どう貢献できるのかということを突き詰めて行くことが重要なんですね。
小林:
その通りですね。
鷲﨑教授:
今後も常にイノベーションが求められ、新しい創造が必要とされていくでしょう。SI&CはMBOを経て、大きく変革していると肌で感じています。これまでの良さを進化させながら、多様な人が新たに関わっていますので、可能性がどんどん広がっているように感じます。
小林:
DXやAIなど、さまざまな知見を有するメンバーが増えています。また近いうちに「クラウドネイティブユニット」という新しい部署が誕生し、想像以上の化学反応が起きていくのではないかと期待しています。
鷲﨑教授:
取り扱うプロジェクトも、不確実性の高いものだったり、規模がさらに大きくなったりしていくと思いますが、今のSI&Cにはチャレンジしていくというか、当たり前のように未知に挑んで行く風土があって、そこにもすごく共感しています。
小林:
確かにそういった風土やメンバー同士のコミュニケーションで、新しいことへの取り組みがドライブして行っている印象があります。
鷲﨑教授:
チャレンジングな中にもやはり、“ビジネスや社会のため”という気持ちがしっかりとありますよね。私もそこをさらに、一緒になって突き詰めて行きたいと感じているんです。
小林:
同感です。
鷲﨑教授:
「DX」という言葉は通常、デジタル・トランスフォーメーションという意味で使われますが、私は「デベロッパー・エクスペリエンス」としても考えているんです。顧客や社会に価値を届け貢献しつつも、仕事を楽しみ生きがいを感じられるという、その開発者の体験という「DX」もしっかり充実させ進化させていきたい。
小林:
そうですね。その“生きがい”がまた、顧客や社会にも還元されていきますよね。その部分でも引き続きぜひ一緒に取り組んでいただけましたらと思います。これからもよろしくお願いいたします。
鷲﨑教授:
こちらこそ、引き続きよろしくお願いします。
――ありがとうございました