株式会社SI&C Principal・Consulting Unit CMMIコンサルティング部長の小林浩と、早稲田大学基幹理工学部情報理工学科教授、早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所所長、株式会社SI&C顧問の鷲﨑弘宜氏による対談を行いました。10年以上にわたって協業する産学連携の活動について、また2人の出会いからSI&Cとの今後についてなどを語っていただきました! 「前編」&「後編」でお届けします!
目次
ソフトウェア開発のエキスパートとの出逢い
Q. まずはお二人のキャリアについて教えて下さい
小林:
IBM、アクセンチュアに在籍し、CMMI(Capability Maturity Model Integration)に特化すべく2011年に株式会社システム情報(現SI&C)に入社しました。2014年にCMMIのリードアプレイザーの資格を取得し、社内においてはCMMIのレベルを4から5へ、そしてお客様へのコンサルティング・ビジネスを本格化させました。そういった活動を重ねる中で、ソフトウェア開発方式の「SEMAT Essence(シーマット・エッセンス)」を知り、興味を持ちました。それが鷲﨑さんとの出逢いに繋がっていきました。
株式会社SI&C Principal・Consulting Unit CMMIコンサルティング部長の小林浩
鷲﨑教授:
私は大学院時代よりソフトウェア開発に携わっており、現在は早稲田大学基幹理工学部情報理工学科の教授、早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所所長などを務めています。産業界とアカデミアとの連携や、ソフトウェアエンジニアリングというものを点から線、さらには面にしていくような、ソフトウェアエンジニアリングそのものを進化・発展させていこうと取り組んでいます。
早稲田大学基幹理工学部情報理工学科教授、早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所所長、株式会社SI&C顧問の鷲﨑弘宜氏
Q. どのような経緯で協業がスタートしたのですか?
小林:
「SEMAT Essence」の存在を知ってとても興味を持ったのですが、そのSEMAT JAPAN CHAPTER(シーマット日本支部)の創設者であり支部長だったのが鷲﨑さんでした。たまたま私の親友に早稲田大学の教授(当時准教授)がいて、その彼に鷲﨑さんについて質問したら「隣の研究室だ」と聞かされてもうビックリで(笑)。すぐに紹介してもらいました。
鷲﨑教授:
そうそう、小林さんとお会いして、小林さんご自身の取り組みや想い、それからシステム情報(現SI&C)という会社にも興味を持ったことを覚えています。こちらからすぐに小林さんに「SEMAT Essence」の会合で講演してほしいという逆オファーをしましたよね。
小林:
本当に驚きでした。お会いしたその日にそんな貴重なお声がけをいただいて。会社で普段どんな取り組みをしているのかをお話しさせていただきました。
鷲﨑教授:
ソフトウェアエンジニアリングのこれからを考えた時に、啓蒙期から実践・発展期ときて、これからどうするかを考えるのがとても重要なタイミングでした。いつも実践している立場や目線からの具体的な話を聞かせていただくことで、これから何をすべきか、どんな改善が必要なのかが見えてきました。
小林:
鷲﨑さんの「とにかくやってみる!」という精神には本当に共感しています。とにかくスピード感がすごい。
鷲﨑教授:
研究者はどちらかといえば理論から見ていきますが、やはり実践知から見ていくことも非常に重要なんですね。ソフトウェアエンジニアリングは、こうすると上手くいく、こうすると上手くいかないというように、実践の中で育まれていくものなんです。まずやってみるということが大切で、そこを積み重ねていきながら理論付けしていくという。
小林:
「SEMAT Essence」も本当に奥が深いので、使いはじめはなかなか効果が見えませんよね。とにかく走らせながら改善していくことが大切なんですね。鷲﨑さんとは出逢いからさまざまなプロジェクトでご一緒させていただくようになり、私自身はもちろん、会社にとっても鷲﨑教授はとても重要な存在になりました。
産学連携のはじまり
Q. 鷲﨑教授がシステム情報(現SI&C)の社外取締役に就任しました
小林:
「SEMAT Essence」の会合で講演をさせていただいたことを社内に報告したんですね。その後に、鷲﨑さんに当社の役員として、社員との接点を持っていただいたり、また東証一部への上場を目指していたこともあり多様な面でお力をお借りしたいとなりました。
鷲﨑教授:
私としましても大変ありがたいご提案をいただきました。それまでも多くの企業様との共同研究やプロジェクトはありましたが、社外取締役というのは私にとって初となるチャレンジでもありました。
小林:
お受けいただいた決め手は何でしたか?
鷲﨑教授:
ソフトウェアエンジニアリング、そして私がずっと取り組んでいるソフトウェアの品質というものが、どのような対象に、どのような価値をもたらすのかをダイレクトに目の当たりにする意義を感じました。企業に貢献することはもちろんですが、開発側・顧客側・そして社会…など、多様なレイヤーに向けた視点を持ちながら貢献していけると感じたんですね。
小林:
システム情報(現SI&C)の社外取締役に就任して、会社についてはどのような印象を持ちましたか?
鷲﨑教授:
品質の良さ、確かなプロジェクトマネジメントを実現していると思いました。当時は比較的カジュアルでフレキシブルな風潮が業界にありましたが、しっかりとした堅いイメージの企業と言いますか、キチッとしていて何事も真面目に外さないという印象を強く持ちましたね。これって実はとても難しいことで、それが実現できているのはすごいことだと感じました。
――小林
鷲﨑さんに参画いただいてから、さらにご一緒する機会も増えていきました。そのあたりのお話は「後編」でお話しさせて下さい。
――「後編」に続く